バックテストは「過去の相場で未来を予測する力」を鍛える作業
中級者になると、ある程度自分のトレードスタイルや得意なエントリーパターンが固まってきます。
しかし、そのパターンが本当に勝てる手法なのかを確かめずに使い続けるのは危険です。
そこで必要なのがバックテスト。
これは過去のチャートデータを使い、自分の手法がどのくらいの勝率を出せるのか検証する作業です。
バックテストを行えば、
- 手法の信頼性
- エントリーポイントの精度
- 勝率やリスクリワードの傾向
が明確になり、自信を持ってリアルトレードに臨めます。
【ステップ1】準備するもの
バックテストを効率的に行うためには、以下の準備を整えましょう。
- 高機能チャートツール
おすすめはTradingViewやMT4/MT5。時間足の切り替えやインジケーター表示が自由自在で、過去データの遡りもスムーズです。 - インジケーター設定
普段リアルトレードで使っている設定をそのまま再現します。
例:RSI期間14/ボリンジャーバンド期間20・2σ - 検証シート(Excel・Googleスプレッドシート)
- 日付・時間
- 通貨ペア
- 根拠(例:RSI30以下+下限2σタッチ)
- 結果(○ or ×)
- 損益
- 反省・気づき
【ステップ2】過去データを選定する
中級者がやるべきなのは「直近だけでなく、複数期間の検証」です。
なぜなら、相場にはレンジ相場・トレンド相場・高ボラ相場など様々な状態があるからです。
- 直近3ヶ月 → 現在の相場環境での有効性チェック
- 1〜2年前 → 相場環境が違う時期でも通用するか検証
- 指標発表日前後 → 高ボラティリティ時の耐性確認
📌 少なくとも200〜300回のサンプルを取ると、統計的に信頼できるデータになります。
【ステップ3】検証方法
① チャートを左から右に動かす
TradingViewの「リプレイ機能」やMT4の「F12キー」でローソク足を1本ずつ進めます。
未来が見えない状態で判断することで、リアルトレードに近い検証が可能です。
② エントリーポイントのルールを守る
- RSIが30以下でボリバン下限タッチ → コール
- RSIが70以上でボリバン上限タッチ → プット
このようにルールを決め、それ以外では絶対にエントリーしないことが大切です。
③ 結果を記録
勝ち・負けだけでなく、なぜその結果になったかもメモします。
「エントリータイミングが早すぎた」「指標で逆行した」など原因を言語化します。
【ステップ4】勝率・損益の分析
検証が終わったら、勝率や損益を数値化します。
- 勝率(勝ち回数 ÷ 全取引回数)
- 平均利益/平均損失
- プロフィットファクター(総利益 ÷ 総損失)
📌 目安としては、勝率55〜60%以上かつプロフィットファクター1.2以上であれば、リアル運用に十分耐えられます。
【ステップ5】改善点を反映する
バックテストは「やって終わり」ではなく、改善に活かしてこそ意味があります。
- 負けが多い時間帯を取引対象から外す
- エントリー条件にフィルター(トレンド方向一致など)を追加
- ボリンジャーバンドの期間を20→18に変更して再検証
このように検証→改善→再検証を繰り返すことで、手法はどんどん精度が高まります。
バックテストの注意点
- 過去データは未来を保証しない
あくまで参考値。相場は常に変化するため、半年〜1年ごとに再検証が必要です。 - サンプル数が少ないと偏りが出る
50回程度では運だけで勝ってしまう可能性があります。最低でも200回以上を推奨。 - ルール破りの検証は意味がない
「ここはエントリーしてみようかな」という感覚的な判断はリアルで再現できません。
まとめ:中級者は「検証の精度」で差がつく
初心者は手法探しに時間を使いがちですが、中級者は**「既存手法の精度を上げる」こと**に集中するべきです。
バックテストはそのための唯一の近道です。
- 現在の相場環境に適合しているか
- 相場が変わっても通用するのか
- どの条件で勝率が下がるのか
これらを数字で把握できれば、リアルトレードの不安や迷いが消え、結果的に勝率も安定します。


